不思議の国 ニッポン

良くあるタイトルだけど、実際に海外に住んだりいろんな国を回ると「日本って独特だなあ…」と思うことも多い。
例えば、今住んでる台湾ではタクシーは自分でドアを開けるし、バスがジェットコースター並みに飛ばす。
道を歩けば犬の糞を踏みそうになるし、公共のトイレに行っても紙が無かったり(最近はコツがわかってきた)。
たまに日本に帰ってくると「なんて清潔で華やかで静かな国なんだ!」とホッとする。

でも、良いことばかりじゃない。
こちらで聞こえるニュースに???となることも多い。
特に3.11の震災以来「これからの日本はどうなるんだろう」と政治関係のニュースを気にするようになってからは特に「これは何を言ってるんだ?」と思うことが増えた。

例えば、世相を語る番組の決まり言葉「閉塞感」。
これ以上成長しないのではないか…」とか「消費者が買いたいものが無い」等々が続く。

でも、「これ以上の成長が望めない」で「買いたいものが無い」なら、それは「閉塞感」じゃなくて「充足感」なんじゃないの?
本当の問題から目をそらすだけの抽象的な言葉遊びにしか見えない。
たまの休みで日本に帰り、最初に書いたように日本の繁栄をみるとそう思う。

確かに、裏道に入るとシャッター街があったりして「寂れてるな」と思うこともある。
ニュースでは「職に就けない若者が増えている」とか暗いニュースも多い。
麻生氏が首相だったときに国会で質問された「カップ麺の値段」、あれは「サラリーマンが貧相な昼食をとっている」という不景気ブリを指摘する話だった。
データでみれば韓国や中国のような新興国に追われて経済にかつての勢いが無く、長引くデフレでパイが縮んでいる面もあるんだろう。

じゃあ、何で「成長しないのでは?」なんて話が出るんだろう?
今の「貧困層」をかつての中流層にするだけでかなりの成長じゃないの?
少なくとも「職が無い」なんて暗い話はなくなるだろう。

カップ麺の値段でいえば、サラリーマンの昼食がカップ麺や菓子パンで200円位だったとしよう。
それを700円の定食屋にいけるようにするだけで一食あたり500円、1ヶ月を20日として1万円、1年間で12万円。
それだけの金が余分に回ることになる。結構いいノートパソコンや、液晶テレビを買えるだけの金だ。
家に帰って夕食も1品増やせばさらに金が回る。十分な成長の原動力になるじゃないか。
良い物食えば元気も出るだろう。医療費も減る。
日本のような先進国で普通のサラリーマンが昼食にカップ麺というのは情けないし、是正すべきだろう。
こういう「やるべきこと」をやれば十分に成長する余地があるじゃないか。

なんだろう…「経済成長」を各人がビルゲイツとかジョブズのように大金持ちになることを考えてるんだろうか?
またバブルのように半裸で扇子もって踊る時代をイメージしてるんだろうか?
そういうのは流石に無いだろうし、目指すべきでもないと思うけど、「経済成長」に変な夢を持っているのかな?

そういえば「起業」についてもそうだ。
私が子供だったころ、漫画では「起業」という言葉の代わりに「脱サラ」という言葉があったと記憶している。
そして、脱サラといえば「喫茶店のマスターになる」というのが漫画での定番だった。
喫茶店を開くのも十分に「起業」だし、その人がそれを夢にしてるのなら立派な自己実現の道だと思う。

でも、ホリエモンのころからだろうか?
「起業」がIT企業を起こすことの代名詞みたいに使われるようになった。
でも、ああいう何百億、何千億も儲ける企業なんてそうそう簡単に作れるもんじゃないし、そういう企業を切り盛りできる能力がある人も極一部だろう。
個々の器にあった地道な道こそが幸せにつながると思うんだけど。

地に足着いてないんだなあ」と思う。
「経済成長」といえば「バブルよもう一度」だし、「起業」といえば「ホリエモンになる」だ。
不況になると宝クジの売り上げが増えると聞いたことがある。
一発逆転にかける人が多くなるんだろう。
困難なときほど着実に行かなければならないのに、その逆に一発勝負がもてはやされる。
人間の心理って不思議なものだな。



「これからの日本」で政治関係の話に戻る。
今日、橋下大阪市長が率いる「維新の会」の公約とやらがニュースになっていた。
橋下氏については、政治の手法や実力についてはあまり期待してなかったし、これまで関心も無かった。
まあ、大阪市で「年収800万円のバス運転手」とプロレスごっこしてる分には面白いけど、とりとめの無い思いつきをペラペラしゃべる奴だなあ位の印象。
一言で言えば「小泉首相の真似?でも若すぎ(幼すぎ)だな」という感想。

その彼の「維新の会」が国政に乗り出すという。
ちょっと勘弁してよ…また民主党の繰り返しかよ、と思いつつ、一応「船中八策」とやらをみてみた。
これがまた「???」となることの羅列。

参院廃止?首相公選?憲法改正手続きの簡素化?
そういうのは議席がそろって足場を固めてからプロセスを含めて「選挙公約」とすべきであって、議席も無い今の時点では「選挙公約」にしても仕方が無いことだろう。
いきなり次の選挙で現行の改憲手続きに必要な議席を取れると思ってんのかな?
本気で思ってるのなら甘すぎるし、フッカケならば「公約破り」を前提とした不誠実な話だ。
これが「将来に向けて」ならばまだ話は分かるけど。
長期と短期、戦略と戦術、手段と目的、目的と目標等々の区別が出来てないんじゃないかなと思う。

「やりたいこと」と「やれること」は同じではない。「やるべきこと」もまた違う。
それらをごちゃ混ぜにしている論をよく見かける。
「いつまでに、どういう手順で」というのを無視していきなり結論めいたものを出してくるってのは信頼が置けない。
「論評に値しない」という他党の意見ももっともだ。
地に足着いてないんだなあ」と、再度思う。
まずは大阪で実績を挙げるべきだろ。なんでも投げっぱなしにするのではなく。

というか、もともとがそういう「コロコロ変わるのが正しい」思想というか嗜好なので、「簡単に世の中を変えられる」仕組みにして日本という国家そのものを「地に足着いてない」状態にするのが正しいと思ってるんだろう。
「カオスこそ活力」みたいな寝言を言う奴は意外と多い。「安定」が基盤となって、その上でのチャレンジを許容できるようでなければ活力なんて出るわけ無いのに。
「馬鹿には2種類ある。『古い、すなわち良い』という馬鹿と『新しい、すなわち良い』という馬鹿だ」という格言がある。
「維新」とか「革命」とか「チェンジ」とか、そういう「変わる」「壊す」というスローガンに踊らされるのも馬鹿ってことだ。
そういうのは「青い鳥」みたいなお話読んで、小学生で卒業すべきメンタリティだろう。
それでも「一発逆転」を望む奴が多いほど不景気なのかなあ?

地方分権?道州制?地方交付税の廃止?TPP参加?
京大の中野氏のTPPに対する台詞じゃないけど「東北の震災でそんな話は吹っ飛んだと思ってました」。
「国家」が保証をする国債でさえあれだけ財源がどうのこうのと渋ったのに、「地方のことは地方で」と地方に借金負わせてどうすんの?
広域災害で産業が潰れたところに「国」より信頼が低い「地方」が高金利で借金背負ったら地獄を見るでしょ。
そういう災害時には国家が助けるとしても、そういうサポートを前提とした「分権」なんて軽々しく言うべきじゃない。
「いざとなったら助けてくれるでしょ?」なんて中学生のプチ家出みたいな覚悟でやられたらたまったもんじゃない。

いや、災害が起きた後の復旧・復興だけではない。
災害が起きる前に地方でどう「災害に強い街づくり」をしていくかも大切だ。というか、そっちの方が重要だ。
それは「いざとなったら」ではなく、そうなる前に「分権」された地方が計画することになる。
金が無い地方では災害対策が疎かになり、それで被害が拡大してより大きな負債を抱えることになる
これから地震が増えるだろうと予想されていくときに、ありえないほどの下策だろう。
やはり「国家」として大局に立った国づくりをしなくてはならない。

思えば、そういう「国家感」が今の日本には欠けてるのかもしれないな。
「故郷」を「クニ」と読むように、海に囲まれた日本にとって「日本」こそが世界であり、より小さな「おらが地方」こそが「クニ」という感覚なのかも。
それはそれで幸福なことではあっただろうけど、これからの「世界の中の日本国」を考える上では、それは危険だ。
英語で言う”country”という自然発生的な国家感だけではなく、”state”や”nation”という定義や感覚の区別もあわせて自覚しなければ「地方分権」と「国家」を正確に考えることが出来ず、分裂と崩壊が待っている。
ああ、参院に代わって地方の首長が会議を開くんだっけ?陳情というワンクッションを置かずに直接に地方への利益誘導ですか。
お互いに自分の利益を主張して、どうせまともな調整はできないだろうけど、「利権が」とか「既得権益が」とか騒いでる人はどう思ってるんだろうね、コレ?

資産課税?消費税増税?ベーシックインカム?
金持ちが銀行から金を下ろして日本から逃げるね。取り付け騒ぎでも起こしたいのかな?
銀行の金庫が空になったら貸し付けも少なくなって企業が倒産ラッシュだね。

その一方で、消費税増税って…本気で景気をこれ以上悪くしたいと思ってるとしか。
ベーシックインカムで広く金をばら撒く一方で消費税で広く金を取るって…意味が分からんし。
国と国民の間で金をぐるぐる回して何が楽しいんだろ?
金持ちから金を取るのかと思えば所得税を減らして、貧乏人に金を配るかと思ったら消費税上げて…分裂症っていうか、今は統合失調症っていうんだっけ?
どういう社会にしたいのかワケが分からん。

そもそもベーシックインカムって、イギリスで昔、大失敗した思想じゃないか?「働いたら負け」っていう。
支給の一本化って、要は「ドンブリ勘定で金をばら撒く」ってことでしょ?個々の事情に応じた「きめ細かなサポート」って考えは無いのか?
「一々やるのは面倒だ」では、それは行政の怠慢だろう。「自己責任」とは相性が良いかもしれないが、政治としての責任の放棄だ。
受益側も、そもそも必要なのは「収入」ではなく「衣食住」なのだから、ベーシックとして必要なのは「インカム」ではなく「サポート」だろう。
そういう「ベーシックサポート」ならば一応の納得はいくけど、やはり目指すべきは「万人が生きがいを持って働ける社会」であって、「生きていれば良い」「消費してくれればいい」という映画マトリックスの人間電池みたいな社会はゴメンだ。
本当に、どういう社会になると考えてるんだろうか?

年金の掛け捨て?
普通に民間サービスで「あなたの年金を『使った』ことにして、後で返します」って抜け道の温床になるだけだろ。
それが金の延べ棒を買うことになるか、証券になるか知らないけど。
窓口A「はい、年金10万円ですね。こちらの赤いテープが付いたライター10本になります」
窓口B「あ、こちらの赤いライター10個でしたら9万5千円で買い取りさせていただきます」
パチンコかよ。何をやりたいんだ?



ざっとみただけでもこれだけの疑問が出てくる不思議の政党「維新の会」。
こういうのが次の選挙で勝つのだったら、本当に不思議の国だよ。っていうか、不思議ちゃん王国
個人個人が本気にならなければならないときに一人の人間に判断を任せちゃう愚民の世界。
そういうのは民主党政権で懲りたと思うんだけどね。
これからの世界は、間違いなく資源や資産の取り合いが激しくなる。災害も国内外を問わず多くなる。
そんな中でこの調子で過去の資産を食い潰したら、あとどれだけ日本が持つか。
私はあと数年は海外暮らしをしなくちゃならないんだが、将来帰る国が残ってりゃ良いけど。

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